淡々と

行動範囲が狭い主婦の静かな日々のあれこれ。家族のしあわせ、シンプルライフ。

W.

「ブッシュ」を観た。観ているうちにパロディー映画ではないことに気づく。ああ、そうか、監督はマイケル・ムーアではなくオリバー・ストーンだもの当然か。

しかし映画配給会社のPRに問題があるような気がする。予告編を観ると、おバカキャラをデフォルメした軽いコメディー映画かと思うもの。キャッチコピーも世紀のKY【クツよけ】男だし。

日本語版のDVDのカバーは大統領の椅子に膨れっ面で頬杖つくブッシュ。オリジナルのタイトルはパパブッシュのGeorge H.W. Bushに対し、ジュニアであるGeorge W. Bushの愛称「W.」なのだが、DVDのカバーだって大統領の苦悩と孤独って感じがする。

スリードするようなPRの仕方はいかがなものか。

実際のところこの映画はブッシュに対して好意的ではないが、ダイレクトに完膚なきまでに痛烈にこき下ろしているわけではない。確かにこれを観たら大統領の器ではない俗っぽいおぼっちゃま政治家に世界の命綱を託してきたという事実に愕然とするし、大統領選さなかに公開され物議を醸したのは事実だが。

かなりやんちゃな青年期、断酒、家族との関わり合いなど淡々とW.の半生を描くドキュメンタリー映画として興味深かった。なんといってもジョシュ・ブロリン演じるW.が似ている。口調も表情もそっくり。W.以外の実在するお馴染みの側近や家族も似ている。パパブッシュとトニー・ブレアはちょっと違う気がしたが。イラク戦争大量破壊兵器の有無を巡る大統領と側近達の生々しい会議の場面など見所は沢山あったが、「プラトゥーン」好きの夫はオリバー・ストーンに期待するハードルが高すぎたらしく、退屈していた。同じ大統領モノの「JFK」には及ばないが私は結構楽しめた作品だった。