淡々と

行動範囲が狭い主婦の静かな日々のあれこれ。家族のしあわせ、シンプルライフ。

家日和

奥田英朗「家日和」を読了。柴田錬三郎賞受賞作品と文庫本のカバーに書いてあったので気合を入れて読み始めたが、いつもの奥田節だった。6つの家庭の物語が収められていて(奥田さん自身は独身じゃなかったっけ)、特に「家においでよ」と「妻と玄米御飯」が面白かった。

「家においでよ」は妻(優れた意匠のモダンインテリアを追求するインダストリアルデザイナー)に出て行かれた38歳の主人公が、一人取り残されたガランとした部屋を徹底的に自分好みの部屋に改造していく過程が楽しい。

確かに妻の好みが反映されている「家」は多いかも。たまに他所のお宅に遊びに行くと、「ここのご主人はこんなラブリーなところに帰ってくるんだな」と不思議な気がする。ラブリーだったり、ほっこりだったり、チープシックというか100均ぽかったり、玩具いっぱい夢いっぱいだったり。背表紙がオシャレじゃないという理由で押入れに収納させられていた(気持ちはよくわかる!我が家も本はクローゼットの中!)本や音楽雑誌を堂々と並べ、オーディオ機器やホームシアターを揃える。

実家で眠っていた300枚のLPレコードを取りに戻って最初にターンテーブルに載せたのが、ポリスのシンクロニシティー。ひえー。昼食代わりに飲んでいたにんじんジュースを思わず本に溢してしまった。私だってシンクロニシティーは擦り切れる程聴いて最初から最後まで歌える。多分今でも。と言うと夫は「たいした歌詞じゃないしな」と笑うが。確かに今聴くとポリスはロクでもないことばかり歌っている。その後社会派に転向したスティングさんにも若かりし頃はあった。

ロハスじゃないけど私もヨガやっています。玄米ご飯食べています。実際は3年半位ほぼ玄米オンリーだったが、いろいろあって最近は白米に逆戻りしつつあるけれど。だから「妻と玄米御飯」は身近な話題過ぎて苦笑いしながら読んだ。主人公は、これが奥田さんみたいに大上段に構えた人をおちょくるのが得意なユーモア小説家。ターゲットをおちょくるけど完膚なきまでにたたきのめすわけではなくどこかターゲットの言い分を尊重してくすっとさせるユーモア加減が絶妙。奥田さん益々面白いなあ。