淡々と

行動範囲が狭い主婦の静かな日々のあれこれ。家族のしあわせ、シンプルライフ。

千円カット

二つに結んだり、三つ編みしたり、三つ編みパーマでフワフワにしたり、髪を長く伸ばして色々アレンジしたいお年頃の娘を最後に美容院に連れて行ったのはかれこれ1年前のこと。前髪は私がたまにざっくり切っていたのだが、そろそろ切り揃えようと息子御用達の千円カットのチェーン店に出掛けた。美容院でカットとなると子供だって結構なお値段するのですもの。

初めて回転寿司屋さんに入った時と同じくらいその合理性に驚く。両替さえ不可の千円札オンリーの券売機でチケットを購入。そしてスツールに腰掛けて順番をひたすら待つ。勿論雑誌や漫画も置いていないし、BGMはラジオ。トイレだってないし、外出しようものなら順番を抜かされてしまう。皆さん心得たもので、文庫本や漫画やゲーム機やワンセグ等、待ち時間を楽しく過ごすアイテム持参で、後はぼんやり他人のカットのライブ実演を眺めたり。

4つあるブースのうち稼動していたのは2つ。順番が来ると前面の鏡部分をパカッと開け客の上着を収納、眼鏡を預かり、ケープを掛け、注文通り手早くカット開始。

千円なのに皆さん結構注文が多いし細かい。男性も意外とヘアスタイルに拘る方が多いのね。見たところ数ヶ月はカットしていないな、という伸び放題の髪を、皆さん短めにこざっぱりと大胆カット。不景気だから来店サイクルが長めなのかしら。

そして掃除機のノズルのようなもので頭や服についた髪を吸引。最後にとうもろこし由来の使い捨て櫛で髪を整え、欲しい人にはその櫛をお土産に差し上げる。おしまい。そしてフロアに落ちた髪を箒で集め、椅子の下にある蓋を開け押し込む。

次々に羊が毛を刈り取られていく感じ。理容師さん達の動きに全く無駄がない。1人につき約10分。1時間で6人。立ち仕事、しかも順番待ちの人々の手前トイレ休憩も取り辛そうな雰囲気で、なかなか大変そうだけど、こういう資格を持っている人はすごいな。鋏とバリカンさえあればいつでもどこでも働けそう。チェーン店あちこちにあるし。

休日の朝だったせいか、客は娘と付き添いの私を除いて全員男性。でも私もここでいいかも、と思ったりした。だって美容師さんと余計な会話をしなくて済むし。長年実家近くの美容院のカリスマ美容師(私認定)にお願いしているので、いつも「お任せします」と一任し、後はコアな西武ライオンズファンの彼とプロ野球の話、時々サッカー。でも他のスタッフにフレンドリーに話しかけられると途端にぎこちなくなってしまう。カリスマさんは同年代なのだが、この人がいつかリタイヤしたら私はどうしよう、と不安になることがある。夫も同じ理由で、かなり長いこと関西にある夫実家近くの理容室を出張の折などを利用し、今でも通い続けているけれど、二人ともいつかは千円カット店かしら。